masaka says
話題になっていたフランソワ・ジュリアン『道徳を基礎づける』を読んだ。憐れみに立ち返るルソー、道徳を経験から切り離し理性の側に置くカント、それらを否定するニーチェ。これら西洋の考え方を、忍びざることに対する情に現れる本性の端緒を他者にまで拡張することを仁とし、形而上学へではなく政治の実践に結びつける孟子と対比させていく。孟子/中国には自由と意思という概念がなく、また根源悪を考えるためには仁徳があれば必ず成功するというところからストア的な禁欲に後退してしまうという指摘。訳者中島による解題も合わせるとより立体的に見えてくる