masaka says
野島直子「ラカンで読む寺山修司の世界」を読んだ。高校時代の俳句やその改作を含めた句集をエディプス的精神分析で扱い、映画や演劇をアルトーとラカン理論の再評価と合わせて読み解いていく。俳句/短歌については分かるもののあまり楽しくはなく、シニフィアンが抹消されて隠喩的に成立する主体=幻想(S/◇a)みたいな話はかなりきついが、戯曲に縛られず空間のキャンバスとスペクタクルの衝撃性を前面に出す寺山の幻想劇をアルトーを参照しながら考察するところは頷けた。これらを総合することで没後40年鼎談書評の「寺山を論じるにはこの本が一番いい」となるのだろうけれど、もっと作品に触れないことにはなかなか難しい