masaka says
工藤庸子『大江健三郎と「晩年の仕事」』を読んだ。ノーベル賞受賞以降の6作について各1章を充て、ドン・キホーテからフィネガンズ・ウェイク、さらにエリオットからプルーストまで動員し、著者の現実世界と作品内世界が交錯するこれらは「世界文学に向かってフィードバック」していることを詳らかにしつつ、サイードとの交流からの影響や丸山眞男の位置づけ、そして作品に登場する女性たちの視点を捉えながら濃密に読み解く。読み応えある充実の470ページ