masaka says
恩田侑布子「渾沌の恋人」を読んだ。第3章で詩経六義のうち興が面白みで何かを起こすことであり万葉集で寄物陳思というごとく「寄物は俳句では季物であり…因果関係を叙述する姿勢をきらう。感情を端的に物によせるのである。とくに季語という季物に」とするのは腑に落ちる(ちなみに詩品三義の残り賦は直叙、比は直喩)。川端康成の「秋の野に」の鑑賞も面白い。絵巻を巡り丸山眞男と加藤周一の一方向/自己完結をdisってその入れ子性から時間を考えるのもいいだろう。切れ字の話は能や茶にまで広げられると違う気がする。ほか両端章あたり話の射程は面白いもののやや強引だったり押し付けっぽかったりする。まぁこういう強引さは、それほど嫌いではないが