masaka says
随分以前に買ってチラ見しただけで放置していた中野孝次『ブリューゲルへの旅』を読み直した。最初から読むと知識人の自己批判的私小説みたいになってしまうのだけれど、そこを飛ばすと、人文主義ではなく、放埒や鈍重も含め自然と調和した存在としてあるがままの農民を描くという視点と共感によるブリューゲル論といえる。あれほど精緻で細部まで描いているのに農民の顔は仮面のようだというあたり、説得力ある