masaka says
鷲田清一「所有論」を読んだ。ロック、レヴィナス、ヒュームを吟味し保有と存在の関係から始まってヘーゲルの「所有者をやめることで所有者になる」という逆説を経由し、プルードンの「受託」という概念がアーレントや文化人類学的な視点を加えて所有=固有(property)ではなく適切さ(propriety)を目指すこと、そして預かったものを未来に向けて贈る義務と責任へと至る。所有という視点はあまり持ったことがなかったが、これまで触れてきたさまざまな問題に通じるところが随所にあり最後の方は資本論の読み直しともつながる。それにプロパティだし。500ページをゆうに越える重厚な著だが丁寧な議論と反復整理のおかげで未来への展望にたどりついた