masaka says
ハルノ宵子「隆明だもの」を読んだ。吉本隆明全集の月報に連載されたエッセイをまとめたもので、吉本幻想を書き換えるというか、偉大な人物であってもボケるという現実を正面に据えつつ、並外れた家族の様子を綴る。最初の方は吉本の意外な側面だったり高機能自閉症とか「反発し合いながら、同じ力で引き合い均衡」とかなるほどと納得のかなり興味深いエピソードが絶妙な距離感で描かれるが、後半は連載疲れのような感じもあり、妹のバナナとの対談は単なる家族の思い出話になって面白くない。なかなか微妙だがほかでは得られないものは確かにあるとはいえる